おくすりと上手に付き合えてますか
当院では、毎月第3火曜日に糖尿病教室を開催していましたが、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため中止しています。そこで、糖尿病教室が再開できるまでの間、糖尿病に関する情報をホームページに掲載することといたしました。糖尿病委員会スタッフを中心に皆様に少しでもお役に立てるような情報をご提供できればと思います
おくすりと上手に付き合えてますか
ポリファーマシーという言葉を耳にしたことはありますか?ポリファーマシーとは、くすりの多剤併用のことで、最近テレビやニュース等で紹介され話題となっています。「Poly(多くの)」+「Pharmacy(調剤)」の造語ですが、くすりが多いことにより、副作用が起こりやすい状態や飲み間違い、残薬の発生につながることをいいます。人によって必要なくすりの数や種類は違うため、単に「くすりが多い」ことを指すものではありません。
糖尿病患者さんとポリファーマシー
複数のくすりを服用していると、服薬管理が難しくなることは糖尿病に限ったことではありません。しかし、糖尿病では症状のない患者さんも多いため、自己判断で中止してしまうリスクが高く、服薬管理がより難しくなりやすい傾向にあります。これは高齢の方に限らず、若い方でも同様の傾向がみられます。また、インスリンなどの注射製剤は飲みぐすりに比べて投与がしにくく、服薬管理をより難しくさせている要因のひとつとなります。こういった服薬管理の難しさがさらにポリファーマシーを招くこともあります。
例えば、医療者側に服薬管理ができていないことが伝わっていないと、検査数値が良くならないことに対して、さらにくすりを追加するという悪循環も起こりえます。慢性疾患である糖尿病は治療の継続が必要であり、長期間のポリファーマシーによって薬剤費が増えることも患者さんの負担となってきます。
ポリファーマシーを防ぐために
血糖値やHbA1cだけではなく、総合的に治療を行うためにはある程度の多剤併用は必要となってきます。そこでポリファーマシーを防ぐための工夫の一例をお示しします。患者さん個々の状態に応じた処方内容の調整を行うことでポリファーマシーを防げる可能性が高まります。
- 配合剤やウィークリータイプの薬剤を選択することで、服薬数を少なくする
- 1日3回服用から2回や1回服用へ変更したり、食前、食直後、食後などの服用タイミングをまとめる
- 出勤前や帰宅後などの生活スタイルに合わせたタイミングでの服用方法に変更する
- ご家族の服薬を管理されている場合も、同じように生活スタイルにあわせた管理しやすい服薬方法に変更する
- 口腔内崩壊錠や貼付剤などおくすりの剤形を工夫する
- 調剤を一包化したり、服薬カレンダーや薬ケースを利用する
かかりつけ薬剤師を活用しましょう
くすりのことで疑問を感じたら、まずは主治医へ相談しましょう。また薬剤師に相談することも可能です。飲み合わせの確認や説明以外にもくすりを減らすことについて相談することも可能です。必要に応じて、主治医に連絡して処方の調整の提案ができる場合もありますので、お気軽にご相談ください。
かかりつけ薬剤師制度について
2016年4月から制度が開始された、かかりつけ薬剤師制度※を知っていますか? かかりつけ薬剤師は薬局があいていない時間も24時間電話対応を行ったり、患者さんのご自宅に伺って服薬管理行うこともできますので、より患者さんのニーズに沿った相談に応じることが可能です。興味のある方はお近くの調剤薬局にお問い合わせください。
*健康保険3割負担で60~100円程度の指導料が発生します。十分な経験がある薬剤師が患者さんから同意を得てサポートが開始されます。