病院指標
令和5年度 京都中部総合医療センター 病院指標・医療の質指標
DPC制度とは
DPC(Diagnosis Procedure Combination)制度とは、平成15年度より導入された急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括支払制度のことです。
DPCは医科保険を使用し一般病棟に入院された患者さんを対象としています。
そのため、以下の方は対象外となります。
- 自動車賠償責任保険、労災保険、自費診療患者さん
- 歯科口腔外科入院患者さん
- 回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟などのみに入院し、急性期病棟を一度も使用しなかった患者さん
- 入院した24時間以内に死亡された患者さん
指標公開の目的
情報公開することで地域のみなさんに当院の特徴や役割について理解を深めていただくことを目的としています。
- この指標は令和6年度病院情報の公表の集計条件等について(厚生労働省令和6年8月8日参考資料)に準じて作成しています。
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別ならびに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
【病院指標】
集計期間
令和5年4月1日から令和6年3月31日までの退院患者さんです。
※件数が10未満の場合は、ー(ハイフン)を記入しています。
対象者
医科保険適用患者(公費・生活保護含む)で一般病棟に1回以上入院した患者さん
在院日数
初回の入院日から退院日までの期間です。
平均在院日数
自院:入院から退院までの日数の平均値です。
他院:令和5年度 厚労省診断群分類毎の平均在院日数(案)より引用します。
患者数
一連の入院を1カウントとします。
- 7日以内の同一傷病名再入院
- 一般病棟とそれ以外の病棟を組み合わせた入院
転院率
全退院患者のうち他の病院へ移った割合です。
計算式:転院患者数/全退院数
DPCコード(診断群分類)
一入院中に最も医療資源を投入した傷病名と手術・処置などを組み合わせた14桁のコードのことです。
同じ傷病名でも、治療の内容によってDPCコードは異なります。
ICD-10コード(国際疾病分類 第10版)
医学的に類似している疾患・障害・状態などを区別して整理(分類)したアルファベットと数字を用いたコードのことです。
Kコード
医科診療報酬点数表で定められた手術のコードのことです。
患者用パス(クリニカル・パス)
入院中に受けていただく治療や検査をスケジュール表にしたものです。
年齢階級別退院患者数
当院の一般病棟の年齢階級別(10歳刻み)患者数を集計しました。
定義
- 令和5年度に一般病棟を退院した患者さんです。
- 年齢は一般病棟に入院した時点のものを使用しています。
- 年齢階級は90歳以上を一つの階級として設定しています。
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 422 | 134 | 117 | 148 | 179 | 392 | 797 | 1901 | 1712 | 539 |
当院は南丹医療圏の中核病院であり小児から高齢者まで幅広い年代を診療しております。
また、近隣施設唯一の小児科入院施設であり、夜間休日を含め小児救急に力を入れて取り組んでいます。
全体を通して60歳以上が7割を超えており、これは地域の高齢化を反映しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
診療科別に患者数の多いDPCコード14桁について集計しました。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx0200xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし | 155 | 3.14 | 4.26 | 0.00 | 71.82 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | 133 | 17.77 | 13.52 | 10.53 | 81.70 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置なし | 115 | 12.16 | 8.75 | 0.87 | 79.30 | |
050130xx9900x0 | 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 | 107 | 21.27 | 17.38 | 8.41 | 84.63 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等なし | 84 | 28.77 | 20.60 | 17.86 | 83.62 |
【狭心症・慢性虚血性心疾患】
1番目に多い症例は、狭心症・慢性虚血性心疾患の心臓カテーテル的手術です。
生活習慣の欧米化に伴い糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病が増加し、その結果動脈硬化を背景とした冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)が増えてきております。循環器内科では、この冠動脈疾患に対する心臓カテーテル検査・治療(冠動脈造影検査、経皮的冠動脈形成術)を数多く行っております。これは主に手首や足の付け根の動脈から心臓まで管(カテーテル)を通して、心臓の筋肉を栄養している冠動脈の細い部分(狭窄)を確認し、風船(バルーン)で広げたり金属の筒(ステント)を留置したりする治療です。当院では主に1泊または2泊の入院で実施しており、可能な限り手首の血管を利用することで患者さんの負担を極力軽減できるように努めております。
【腎盂腎炎・尿路感染症】
2番目に多い症例は、腎臓・尿路系の感染症です。原因となる菌が膀胱や腎臓に侵入し炎症を起こす疾患です。腎臓は血流が豊富な臓器であり、菌が侵入すると、血液にまで入り込み、時に重症化することもあります。血液検査・尿検査で炎症の程度や原因菌を確認し、さらに超音波、CTによる画像検査で尿路に通過障害がないかを確認します。抗生物質による治療を行い、尿路に通過障害(尿管結石が多い)があれば、尿管にステントと呼ばれるチューブを挿入し、尿が適切に体外に排出されるようにします。
【総胆管結石】
3番目に多い症例は、総胆管結石です。肝臓で産生された胆汁の流れる道を胆道といい、胆道に結石ができる病態を総称して胆石症と呼びます。このうち、肝臓と十二指腸を結ぶ肝外胆管(総胆管)にできた結石を総胆管結石といいます。結石が胆管をふさぐことにより痛みや吐き気、食欲不振の原因となることがあります。また、胆管がつまることで胆汁が鬱滞することで、褐色尿や黄疸の原因になることや、細菌感染を伴うと発熱・悪寒などの症状が出る胆管炎の状態になります。細菌が広がると血中に移行し敗血症になれば意識障害やショックになり致命的となることもあります。また、胆管と十二指腸の合流部には膵臓の管(膵管)も一緒に合流しているため、合流部に結石がはまり込むと急性膵炎を発症することもあります。細菌感染に対しては抗生剤加療も行いますが根本的には結石を除去する必要があります。外科的手術などの方法もありますが、最近は内視鏡治療の進歩により内視鏡的胆管結石除去術が主流となっています。結石を一度に除去できない場合には、ステントと呼ばれるチューブを置いて胆汁の流れを良くして治療が複数回に渡ることもあります。
【心不全】
4番目に多い症例は、心不全です。心臓は全身に血液を送り出すポンプですが、さまざまな原因によりこのポンプのはたらきが低下して、必要とされる血液が供給されずに血液がうっ滞する状態がうっ血性心不全です。肺の血液が滞ることで呼吸困難が生じたり、末梢の組織にむくみが生じて体重増加や食欲不振につながります。また十分な血液が供給されないことで全身倦怠感や尿量の低下が起こります。主な治療として血行動態を中心に病態や重症度を把握して薬物療法を行い、原因となる疾患の治療も行うことで再発防止につなげていきます。社会の高齢化に伴って心不全患者は増加傾向であり、増悪を繰り返して心不全の終末期へと進んでいく決して予後がいいとはいえない病態です。最近は心臓リハビリテーションの積極的な導入や院内外の多職種が連携して患者指導などの疾病管理を行うことで、心不全の増悪入院を予防していく取り組みを行っております。
【誤嚥性肺炎】
5番目に多い症例は、誤嚥性肺炎です。誤嚥とは食物や唾液が食道ではなく誤って気管に流れ込むことで、発生する肺炎です。年齢により嚥下機能の低下した人で起こりやすくなります。当院では周囲に老健施設が多いこともあり、肺炎の中で多くの割合を占めています。症状は普通の感染性肺炎と同じで、発熱、咳嗽、喀痰、頻呼吸、低酸素血症などですが、元気がない、食欲が落ちてきたなどの症状しかみられないこともあります。治療は抗生物質を使用しますが、歯科や耳鼻科、言語療法士と連携して行う口腔内のケアや嚥下リハビリも重要です。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080270xxxx1xxx | 食物アレルギー 手術・処置等1あり | 54 | 1.00 | 2.12 | 0.00 | 1.80 | |
040090xxxxxxxx | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 43 | 5.70 | 5.96 | 0.00 | 1.77 | |
080270xxxx0xxx | 食物アレルギー 手術・処置等1なし | 42 | 1.00 | 2.69 | 0.00 | 1.81 | |
0400801199x00x | 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術・処置等なし | 25 | 5.84 | 5.62 | 0.00 | 2.80 | |
040100xxxxx00x | 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 21 | 4.86 | 6.37 | 0.00 | 4.24 |
小児が罹患する疾患の中で最も多いのは呼吸器感染症です。多くの場合は軽症ですが、中には気管支炎や肺炎など重症例もあるため、発熱や咳嗽などが長く続く場合には小児科を受診されることをお勧めします。気管支喘息発作の入院割合も高く、症状が悪化する前に治療を受けることが大切です。 当小児科では退院された後は患者様のご都合に応じてかかりつけ医との連携も積極的に行っております。また、食物アレルギーの患者様に入院または外来での経口食物負荷試験を実施しています。 ご不安な事があればその都度ご相談ください。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 | 53 | 5.64 | 5.98 | 0.00 | 65.53 | |
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 | 51 | 4.22 | 4.55 | 0.00 | 72.04 | |
060035xx010x0x | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし | 33 | 17.00 | 15.12 | 0.00 | 77.30 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 31 | 11.55 | 8.95 | 3.23 | 75.23 | |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 | 29 | 4.86 | 5.29 | 0.00 | 48.41 |
当院は地域がん診療病院に指定され、外科での診療もがん治療が主軸であり、手術・化学療法・放射線治療などによる集学的治療を行っています。 統計では、良性疾患(胆石症、鼡径ヘルニア、虫垂炎など)の患者数も多く、上位を占める結果となりました。 このような良性疾患に対しても腹腔鏡下手術を積極的に取り入れ、緊急手術にも対応しております。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 | 76 | 48.49 | 25.50 | 5.26 | 81.54 | |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 69 | 34.87 | 21.96 | 0.00 | 76.30 | |
070343xx99x1xx | 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2 - 1あり | 52 | 2.25 | 2.59 | 0.00 | 73.35 | |
07040xxx01xxxx | 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 36 | 35.06 | 19.55 | 0.00 | 72.44 | |
070343xx01x0xx | 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2なし | 28 | 33.75 | 19.94 | 3.57 | 73.21 |
南丹医療圏においても全国の地域と同じく高齢化が進んでおり、整形外科ではご高齢者の転倒による太ももの付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)による入院が最も多くなっています。 また当院整形外科には脊椎・脊髄病センターを併設しており、南丹医療圏以外からも多数の脊椎疾患の方が入院されています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx97x00x | 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 10 | 9.90 | 9.89 | 0.00 | 70.30 | |
040040xx99200x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 - 2あり 手術・処置等2なし | - | - | - | - | - | |
040200xx01x00x | 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | - | - | - | - | - | |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 - 4あり 定義副傷病なし | - | - | - | - | - | |
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎 手術・処置等2なし | - | - | - | - | - |
呼吸器外科の入院で最も多いのは、肺悪性腫瘍手術目的の入院です。肺悪性腫瘍には原発性肺がんが多く、他の部位のがんから肺にきた転移性肺腫瘍もあります。肺がん術後は定期的に検査を行い転移、再発の早期発見に努めています。転移、再発が見られた場合には、化学療法を行うことが多いのですが化学療法の初回は入院で、2回目以降は外来で行っています。 気胸に関しては、若い人に起こりやすい特発性気胸や、主に中年以降の喫煙者に見られる慢性閉塞性肺疾患等が原因で起こる続発性気胸の治療も行っています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120060xx02xxxx | 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 | 15 | 6.47 | 5.93 | 0.00 | 50.40 | |
120070xx02xxxx | 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 | 14 | 5.86 | 6.00 | 0.00 | 54.71 | |
120010xx01x0xx | 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)等 手術・処置等2なし | 11 | 10.73 | 11.76 | 0.00 | 65.45 | |
120090xx97xxxx | 生殖器脱出症 手術あり | 11 | 8.82 | 7.89 | 0.00 | 73.18 | |
120180xx01xxxx | 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 | 11 | 9.18 | 9.34 | 0.00 | 32.91 |
婦人科としては、侵襲の少ない手術として、腹腔鏡下手術を積極的に施行しており、良性の卵巣腫瘍のほとんどと、子宮に対しても筋腫の大きさなどを考慮してですができるだけ腹腔鏡下手術で施行しており、ロボットの手術も施行しています。また、悪性腫瘍(癌)に対しても、手術と抗癌剤治療、放射線治療を積極的に施行し地域での患者に対応しています。このほかにも高齢化社会となり、子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱に対しての手術症例も多くなっています。
産科としては、地域周産期センターとなっており、地域の産婦人科医院からの紹介患者を受け入れ、緊急帝王切開などにも対応しています。また、当院では、分娩は基本的には自然分娩をとしていますが、赤ちゃんの状態によっては安全のため小児科立ち合いでの帝王切開も施行しているため、帝王切開術が多くなっています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020110xx97xxx0 | 白内障、水晶体の疾患 手術あり 重症度等片眼 | 334 | 2.14 | 2.54 | 0.00 | 76.72 | |
020240xx97xxx0 | 硝子体疾患 手術あり 重症度等片眼 | - | - | - | - | - | |
020110xx97xxx1 | 白内障、水晶体の疾患 手術あり 重症度等両眼 | - | - | - | - | - | |
020200xx9710xx | 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし | - | - | - | - | - | |
020180xx97x0x0 | 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし 重症度等片眼 | - | - | - | - | - |
眼科の入院はほとんどが手術目的となります。
最も多い症例は白内障で、全症例数の9割以上を占めており、当院では白内障は1泊2日あるいは2泊3日で手術をおこなっています。両眼に白内障を患っている患者さんは、片眼の手術後に一旦退院し、後日再入院して反対側の眼の手術を受けられています。次に多い症例が網膜・硝子体疾患で、全症例数の約1割に及びます。これらの疾患は、放置することで失明の危険性がある重篤な疾患であり、治療に力を入れています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030350xxxxxxxx | 慢性副鼻腔炎 | 19 | 6.16 | 6.02 | 0.00 | 57.79 | |
030250xx991xxx | 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり | 19 | 2.00 | 2.03 | 0.00 | 59.89 | |
03001xxx0200xx | 頭頸部悪性腫瘍 頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし | 18 | 10.44 | 12.84 | 0.00 | 70.83 | |
100020xx010xxx | 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術・処置等1なし | 18 | 9.06 | 7.94 | 5.56 | 66.39 | |
030230xxxxxxxx | 扁桃、アデノイドの慢性疾患 | 11 | 8.45 | 7.53 | 0.00 | 23.55 |
耳鼻咽喉科での入院症例で最も多いのは、慢性副鼻腔炎で内視鏡下副鼻腔手術を行う患者さんです。次に多いのは睡眠時無呼吸症候群の検査を行う患者さんや慢性扁桃炎とアデノイド増殖症に対する口蓋扁桃摘出術、アデノイド切除手術を行う患者さんです。
また、頭頸部がん専門医が常勤している病院として、耳・鼻・口腔・咽頭・喉頭・大唾液腺(耳下腺・顎下腺)の良性腫瘍や甲状腺癌、頭頸部癌(舌癌、咽頭癌、喉頭癌、鼻副鼻腔癌など)の診療・手術も数多く行っております。頭頸部癌は手術だけでなく、放射線治療、抗癌剤治療、免疫治療、緩和治療も含めた総合的診療を行っています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxxx | 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり | 70 | 2.00 | 2.44 | 0.00 | 72.83 | |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし | 52 | 4.17 | 6.85 | 0.00 | 76.58 | |
11012xxx02xx0x | 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし | 27 | 4.48 | 5.22 | 0.02 | 69.89 | |
110080xx01xxxx | 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 | 25 | 12.84 | 11.19 | 0.00 | 70.64 | |
110070xx99x20x | 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等あり | 16 | 10.94 | 9.06 | 0.00 | 75.88 |
当院の泌尿器科では、前立腺癌の疑いに対する前立腺生検目的の入院が最も多く、次いで、膀胱悪性腫瘍(膀胱癌)に対する経尿道手術目的の入院や尿管結石や腎結石に対する内視鏡を使った結石破砕手術目的の入院が多くあります。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
5大癌について以下の通り集計しました。
- 初発患者:UICCのTNMからなる病期分類(ステージ)による患者数
- 再発患者:期間内の患者数
- TNMとはT(原発腫瘍の進展範囲)N(所属リンパ節転移の有無と進展範囲)M(遠隔転移の有無)の3つの構成要素の付記する数字によって、悪性腫瘍の進展範囲を示すものです。これらの組み合わせにより病期分類(ステージ)が決定します。
定義
- 患者数は延患者数です。
- 初発例としてカウントした患者は再発例にはカウントしません。
- TNM分類が不正確等でステージが不明の場合は不明として別記しました。
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 59 | - | 12 | 25 | 20 | 19 | 1 | 8 |
大腸癌 | 17 | 26 | 41 | 36 | - | - | 1 | 8 |
乳癌 | 17 | - | - | - | - | - | 1 | 8 |
肺癌 | - | - | - | 30 | 16 | 71 | 1 | 8 |
肝癌 | - | 10 | - | - | - | 26 | 1 | 8 |
当院は平成27年4月に地域がん診療病院の指定を受け、がん診療の拠点病院として治療を提供しており、手術・化学療法・放射線治療など幅広い治療を行っております。入院加療としては、初発の症例については胃癌の件数が最も多く、次いで大腸癌、肺癌となっています。胃癌、大腸癌は内視鏡的治療から外科的治療、緩和治療まで様々な病期に対応した治療を行っています。乳癌は専門外来での対応をしております。肺癌は早期の場合の手術療法やⅢ期IV期に対する化学療法を行っています。肝癌は外科的治療やTACE、緩和治療などを行っております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
成人(20歳以上)の市中肺炎につき重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計しました。
- 市中肺炎とは、普段の社会生活を送っている中で罹患した肺炎のことです。
- 重症度の集計には、市中肺炎ガイドラインによる重症度分類システム(A-DROP)を使用しました。
定義
- 入院の契機となった傷病名および最も医療資源を投入した傷病名に対するICD-10コードが両方ともJ13-J18$で始まるものです。
- インフルエンザ等、ウイルス性肺炎、誤嚥性肺炎は除外しています。
- 一般病棟外からの転入、他院からの転院は除外しました。
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 11 | 11.00 | 53.73 |
中等症 | 87 | 21.22 | 78.83 |
重症 | 23 | 22.26 | 86.57 |
超重症 | - | - | - |
不明 | - | - | - |
市中肺炎は様々な細菌・ウイルス・真菌などが引き起こします。
早期に適切な治療を行うため重症度を分類し、軽症であれば基本的には外来で治療しますが、基礎疾患(高齢者・糖尿病・悪性腫瘍など)のある方などで免疫が低下されている方や、合併症のリスクがある方は入院で経過をみることもあります。
原因菌の検索を行い、それに応じた抗生物質・抗ウイルス薬・抗真菌薬などを投与します。
また、肺炎球菌についてはワクチンがあり、接種することで発症予防になります。
当院では、重症度が中等度の患者さんが全体の約70%を占めています。
年齢が高くなるほど重症度が高くなり、在院日数が伸びています。
脳梗塞の患者数等
脳梗塞の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しました。
定義
- 最も医療資源を投入した傷病名のICD-10のコードがI63$である症例を集計しました。
ICD10 | 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|---|
I63$ | 3日以内 | 83 | 43.82 | 77.48 | 3.61 |
I63$ | その他 | 26 | 61.27 | 77.08 | 3.85 |
ほとんどの症例で発症後3日以内に治療を行っています。発症直後では脳血栓溶解療法(t-PA)が適応になる場合もあり、他に抗凝固療法・抗血小板療法・脳保護療法・抗脳浮腫療法などを必要に応じて併用します。
迅速に治療を行うことで後遺症を最小限に抑えることができ、再発予防として早期リハビリ開始に繋がります。
急性期治療を終えた患者さんは自宅・施設・他病院などへ退院されますが、回復リハビリテーション病棟へ転棟されることもあります。
当院は平成27年12月より回復期リハビリテーション病棟が稼働しております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
診療科別に手術件数の多い順に上位5術式について集計しました。
症例数、術前日数、術後日数、平均年齢、転院率を集計しました。
定義
- 各診療科別に症例数の多い順に上位5術式について科別に示しています。
- 同一手術において複数の手術手技を行った場合、主たる手術のみをカウントしています。
- 手術術式の点数表コード(Kコード)による集計ですが、輸血関係や小手術などは除外しています。
- 平均術前日数とは入院日から手術日までを、平均術後日数とは手術日から退院日までをさし、それぞれ手術日は含んでいません。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 116 | 1.05 | 11.99 | 5.17 | 81.13 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術 その他のもの | 90 | 1.23 | 2.68 | 0.00 | 71.79 | |
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 | 83 | 0.54 | 1.20 | 0.00 | 71.96 | |
K616 | 四肢の血管拡張術・血栓除去術 | 62 | 3.06 | 22.18 | 12.90 | 77.84 | |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 | 60 | 0.17 | 6.73 | 0.00 | 77.63 |
内科で1番目に多い手術は、内視鏡的胆道ステント留置術です。
悪性腫瘍や良性胆道狭窄になどで胆管が狭窄・閉塞し、胆汁の流れが悪くなることにより、黄疸、肝機能障害、胆管炎等が起こります。
内視鏡を使用し胆管にステントというチューブを入れ、胆汁の流れを良くするための治療です。エックス線透視下でカメラの先端から細い管(カニューレ)を総胆管に挿入し、カテーテルから胆管や膵管内に造影剤を注入し、狭窄の部位、範囲を評価します。造影検査により狭窄の状態を調べたのち、ガイドワイヤー(軟らかい針金)を胆管に挿入し狭窄部を突破します。そのガイドワイヤーに沿わせてステントを挿入します。狭窄がとても強い時は、専用のバルーンで狭窄部を拡張してからステントを留置する場合があります。
2番目に多い手術は、経皮的冠動脈ステント留置術・経皮的冠動脈形成術です。
心臓の筋肉を栄養している冠動脈が動脈硬化で細く(狭窄)なって引き起こされる狭心症や、血液の塊(血栓)などで急に詰まってしまう(閉塞)急性心筋梗塞などに対して、カテーテルという管を用いて行う治療です。主に手首や足の付け根の動脈から心臓までカテーテルを通して、病変部分で風船(バルーン)を広げたり金属の筒(ステント)を留置して血液の流れを改善させる治療です。当院では主に1泊または2泊の入院で実施しており、可能な限り手首の血管を利用することで患者さんの負担を極力軽減できるように努めております。
3番目に多い手術は、内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)です。
発見された大腸ポリープ(結腸・直腸の腺腫)や一部の早期大腸癌はポリペクトミー・粘膜切除術(EMR)で切除対応しております。スネアワイヤーといわれる金属の輪の中に病変を入れて通電して切除します。
「長径2cm以上」の病変についても同様の手術手技で対応できるものは行っており、合計するとこの手術手技の件数はさらに多くなります。この手技で対応困難な病変については、粘膜切開剥離(ESD)や腹腔鏡下手術など適切な方法を検討して対処しております。
4番目に多い手術は、四肢の血管拡張術・血栓除去術です。
近年の生活習慣病の増加に伴い、全身の動脈硬化症の一部分症として末梢動脈疾患(多くは下肢の動脈が狭窄して血流が悪くなる状態)が増えてきており、生命予後にとっても重大な病態と考えられています。冠動脈におけるカテーテル治療と同様に末梢動脈疾患に対しても、カテーテルを用いて動脈の狭窄や閉塞病変に対してバルーン拡張やステント留置を行うことで血液の流れを改善させることができます。この領域におけるカテーテル治療の進歩は近年目覚ましく、以前はバイパス手術の適応になっていた病変に対しても、より低侵襲なカテーテルでの治療ができるようになってきております。
5番目に多い手術は、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術)です。
胃の腺腫や粘膜内にとどまると診断される早期胃癌に対して内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)という方法で治療を行っています。
胃、十二指腸の腫瘍に対しては、スネアワイヤーという金属の輪の中に病変を入れて通電して切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)という方法を行う場合もありますが、ESDは専用の処置具を使用することにより大きな病変もひとかたまりで切除することができます。ひとかたまりで病変を切除することによって、病変の性質、ひろがりや深さ(深達度)を病理学的に正確に診断をすることが可能となります。治癒切除が得られたと病理診断された場合は外科手術と同等の治療効果が得られます。ESDが導入される前は外科手術を行っていたような早期胃癌でもESDによって治療可能な場合があり、外科手術より低侵襲なESDを行うことが増えています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 88 | 2.64 | 4.99 | 1.14 | 68.14 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 48 | 0.77 | 2.15 | 0.00 | 60.19 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 39 | 4.44 | 14.03 | 0.00 | 78.28 | |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの | 28 | 0.50 | 3.39 | 0.00 | 39.29 | |
K6113 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置 | 21 | 7.90 | 20.67 | 4.76 | 75.76 |
当院外科はがんに対する手術を主軸に、胆石、鼡径ヘルニア、虫垂炎に対する手術も多数行っており、これら良性疾患に対しても腹腔鏡下手術を積極的に取り入れています。また、急性胆嚢炎や急性虫垂炎は緊急手術が必要となる場合も多く、休日、深夜を含め対応させていただいております。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0821 | 人工関節置換術 | 116 | 1.69 | 32.44 | 0.00 | 75.23 | |
K0461 | 骨折観血的手術 | 69 | 1.93 | 39.16 | 4.35 | 73.04 | |
K1426 | 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 | 48 | 3.52 | 24.23 | 0.00 | 73.27 | |
K0462 | 骨折観血的手術 | 31 | 4.84 | 27.84 | 0.00 | 58.97 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術 | 29 | 3.31 | 35.55 | 3.45 | 80.07 |
整形外科では脊椎・脊髄病センターを併設しており、脊椎の手術件数が多いのが当院の特徴となっています。
南丹医療圏においても高齢化が進み、ご高齢の転倒による太ももの付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)による入院も多く、ほとんどが手術適応となっていますが、ご高齢者の場合術後のリハビリも重要で日数も要するため、回復期リハビリテーション病棟やリハビリテーション専門病院に早期に移動していただくようにしています。
また身体は元気であるにもかかわらず、膝や股関節が痛くて歩けず日常生活が不自由なご高齢者も多く、膝関節や股関節の人工関節手術も増えつつあります。人工膝関節手術は2022年からロボットを使用した最新式のロボット支援手術を行っています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K514-21 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 | - | - | - | - | - | |
K5131 | 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) | - | - | - | - | - | |
K514-23 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) | - | - | - | - | - | |
K514-22 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) | - | - | - | - | - | |
K5132 | 胸腔鏡下肺切除術 部分切除 | - | - | - | - | - |
呼吸器外科で多い手術は、胸腔鏡補助下の肺悪性腫瘍手術です。
原発性肺癌の標準手術は肺葉切除術ですが、早期のものに関しては、区域切除術あるいは部分切除術などの積極的縮小手術も行っています。
また、低肺機能などハイリスク患者さんに対しては、状態に合わせた治療を選択しています。
転移性肺腫瘍に関しては、部分切除術を基本に必要があれば区域切除術や肺葉切除術を行っています。
胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術)は、主に気胸に対する手術です。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K877-2 | 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 | 18 | 1.00 | 4.56 | 0.00 | 60.44 | |
K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) | 14 | 0.93 | 4.07 | 0.00 | 52.36 | |
K8982 | 帝王切開術 選択帝王切開 | 11 | 1.73 | 6.36 | 0.00 | 33.18 | |
K889 | 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側) | 10 | 1.20 | 8.40 | 0.00 | 63.90 | |
K8654 | 子宮脱手術 腟壁形成手術及び子宮全摘術(腟式、腹式) | - | - | - | - | - |
産婦人科では、お産は、できるだけ自然にと考えています。しかし、妊婦健診で骨盤位(逆子)や前置胎盤などが分かっている場合には、分娩を安全に終了させるために帝王切開の予定を立てて麻酔科管理下に施行しています。昔とは違い、帝王切開は安全に終了できる手術となっています。そして、以前に帝王切開術や子宮筋腫の手術を受けて子宮を切開したことのある方も陣痛に子宮の壁が耐えられないで子宮破裂を起こすことが有り、安全のため、帝王切開を施行しているため選択帝王切開は増加しています。当院は地域周産期センターとなっており、他院より胎児の状態が悪いため救急搬送されて来たときや、陣痛で入院された後、胎児の状態を胎児の心拍数で見守っていきますがこれで胎児の状態が危険になったと診断したときには、緊急帝王切開術を施行しております。
婦人科の手術は、できるだけ体の負担の小さい腹腔鏡下手術を施行しています。最近では良性の子宮、卵巣の疾患はほとんどが腹腔鏡の手術となっています。子宮脱の手術は京都市内の病院より当院は多く施行しており、術後は普通の生活にもどられています。また、癌についても婦人科腫瘍の専門医がおり手術、化学療法と適切に対応しております。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) | 334 | 0.02 | 1.00 | 0.30 | 76.71 | |
K2801 | 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの | 10 | 0.00 | 4.60 | 0.00 | 71.10 | |
K2802 | 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの | - | - | - | - | - | |
K279 | 硝子体切除術 | - | - | - | - | - | |
K2423 | 斜視手術 前転法及び後転法の併施 | - | - | - | - | - |
眼科では、白内障に対する手術である水晶体再建術が集計対象手術件数の9割以上を占めます。
最新の手術機械を所持しており、より安全な手術を心がけています。
次いで挙げられるのが、硝子体茎顕微鏡下離断術です。増殖糖尿病網膜症や網膜剥離、黄斑円孔などの網膜硝子体疾患に対する手術です。
患者さんの状態によっては、上記の白内障手術と硝子体手術を同時に行うこともあります。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | 口蓋扁桃手術 | 18 | 1.00 | 6.50 | 0.00 | 19.72 | |
K340-6 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術) | 16 | 1.19 | 4.63 | 0.00 | 58.56 | |
K4631 | 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの) | 14 | 1.21 | 6.64 | 7.14 | 64.29 | |
K368 | 扁桃周囲膿瘍切開術 | 10 | 0.40 | 4.70 | 0.00 | 48.10 | |
K4691 | 頸部郭清術 片側 | 10 | 2.30 | 8.20 | 0.00 | 68.00 |
耳鼻咽喉科の手術で最も多いのは、慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃摘出術です。
また、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術や感染症に対する治療も多く行っています。
その他、頭頸部(耳・鼻・口腔・咽頭・喉頭・甲状腺・唾液腺など)の良性・悪性腫瘍の手術、慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術など頭頸部外科全体をカバーする手術を行っています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 53 | 1.00 | 2.17 | 0.00 | 76.17 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの | 27 | 1.00 | 2.48 | 0.00 | 69.89 | |
K843-4 | 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) | 25 | 1.56 | 10.28 | 0.00 | 70.64 | |
K773-51 | 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)原発病巣が7センチメートル以下のもの | 13 | 1.00 | 8.92 | 0.00 | 68.46 | |
K7981 | 膀胱結石、異物摘出術(経尿道的手術) | 12 | 0.92 | 2.00 | 0.00 | 69.25 |
最も件数が多い手術は、膀胱悪性腫瘍(膀胱癌)に対する経尿道手術です。全身麻酔あるいは腰椎麻酔下に一時間程度で実施可能な、表在性膀胱癌に対する根治手術です。
2番目に多いのは、尿管あるいは腎結石症に対して内視鏡を使って結石を破砕・摘出する手術です。
3番目に多いのは、ロボット支援による前立腺摘除術です。2021年に当院もロボット支援手術(ダビンチ)を導入し、順調に症例が増加しています。
4番目は、ロボット支援による腎摘除術です。前立腺と同様に2021年より手術を開始し、症例が増加為ています。
5番目は、膀胱内にできた結石を内視鏡を使って細かく砕石し摘出する手術です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
医療の質を改善するため、臨床上ゼロにはなりえませんが、少しでも改善すべきものとして、以下の4つについて医療資源を最も投入した病名と入院の契機となった傷病名の同一性の有無を区別して患者数と発生率を集計しました。
- 播種性血管内凝固症候群
基礎疾患(急性白血病、悪性新生物、敗血症など)の悪化などで血液の固まる力が高まり、全身の細い血管で小さい血栓が多発し、臓器不全、出血傾向がみられます。 - 敗血症
細菌などの感染症が原因で全身の臓器に炎症反応を起こします。 - 真菌症
血液中に細菌が存在する状態です。 - 手術・処置等の合併症
手術や処置等が原因となって起こる病気のことです。
定義
- 最も医療資源を投入した傷病名が上記のものについて、患者数をカウントし、全患者に対する発生率を記述しました。
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 14 | 0.33% |
異なる | - | - | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 20 | 0.34% |
異なる | - | - |
播種性血管内凝固症候群(以下DIC)や敗血症が医療資源を最も投入した病名なる場合は、高額な点数(入院費が高くなる)が設定されており、臨床的に根拠のある診断でなければアップコーディング(より高い診療報酬を得るために意図的に傷病名を変更すること)を疑われかねない項目です。
これらの病気には、原疾患があることが多く、どちらを選択するかは厚生労働省が作成しているコーディングテキストに基づいて決定しております。
しかし、急性期医療を行う当院では、これらの重篤な患者を受け入れる役割を担っており、病気をゼロにすることはなりえません。
また、手術・処置合併症は、手術・処置などを起因とした併発・続発による合併症などが含まれています。合併症の可能性については、事前に説明しており、万が一起こった場合は迅速に対応しております。その他、薬物中毒などの緊急救命症例も含まれています。内訳は以下のとおりです。
ICD10 | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
T810 | 処置に合併する出血及び血腫,他に分類されないもの | 同一 | - | - |
T812 | 処置中の不慮の穿刺及び裂傷<laceration>,他に分類されないもの | 同一 | - | - |
T814 | 処置に続発する感染症,他に分類されないもの | 同一 | - | - |
T818 | 処置のその他の合併症,他に分類されないもの | 異なる | - | - |
T825 | その他の心臓及び血管の人工器具及び挿入物の機械的合併症 | 同一 | - | - |
T827 | その他の心臓及び血管の人工器具,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 | 同一 | - | - |
T838 | 尿路性器プロステーシス,挿入物及び移植片のその他の合併症 | 同一 | - | - |
T840 | 体内関節プロステーシスの機械的合併症 | 同一 | - | - |
T842 | その他の骨の内固定材の機械的合併症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
T886 | 適正に投与された正しい薬物及び薬剤の有害作用によるアナフィラキシーショック | 同一 | - | - |
T888 | 外科的及び内科的ケアのその他の明示された合併症,他に分類されないもの | 同一 | - | - |
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
対象患者は全体共通の対象患者かつ15歳以上の患者で、集計値は(分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数/肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を実施した退院患者数)×100で算出しました。
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが 「中」以上の手術を施行した 退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の手術を 施行した患者の肺血栓塞栓症の 予防対策の実施率 |
---|---|---|
792 | 768 | 96.97% |
血液培養2セット実施率
集計値は(血液培養オーダが1日に2件以上ある日数/血液培養オーダー日数)×100で算出しました。
血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
---|---|---|
2727 | 2262 | 82.95% |
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
集計値は(分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数/広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数)×100で算出しました。
広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日 までの間に細菌培養同定検査が 実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
---|---|---|
615 | 529 | 86.02% |
医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)
更新履歴
2024年9月30日 令和5年度病院指標掲載